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伊坂城跡の発掘調査現地説明会 その2 [発掘調査現説]

伊坂城跡の発掘調査現地説明会の続きです。

伊坂城は大きな城で、高速道路により城跡の半分が消滅してしまうのでいろいろな発見がありました。

近世城郭はともかく、中世城郭は実際は曲輪の中がどうなっていたのかとか、建物があったかどうかなど分からないことが多いです。
こういう機会ではないと全面的に発掘調査をすることはないのです。
城跡がなくなってしまうことはとても残念ですが、城跡の内部の様子がわかるという意味では貴重な調査です。

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櫓門の隣の土塁です。
梯子で登ります。
今回は山城なので非常に危ない場所も多いです。
三重県埋蔵文化財センターの調査ですが、とても多くの職員が出ていて、安全面にも配慮されていました。

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土塁の上で見つかった礎石建物です。

礎石は8個ありました。
3間×1間の建物が想定できますが、礎石が失われて3間×2間の建物の可能性があると説明していました。

礎石のならびに不自然を感じました。
もしかいると小さい2棟の建物だったかもしれません。

主郭内は、掘立柱建物だったのに、ここは礎石建物というのは、それだけ重要な場所だったのでしょうか。

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土塁の隅にあった集石です。
15~20センチの大きさの丸石で、石つぶてということでした。
戦いのときにこの土塁上から石を投げたということでした。
実際に石つぶてが見つかることは珍しいことです。

ただ、城跡にはこのような石は多く散在していて、ほんとうにココだけなのかとも感じました。

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伊坂城の図面です。

色のついているところが調査範囲です。
左が主郭、その右が曲輪2です。
水色は堀址です。

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主郭から見た曲輪2です。

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主郭と曲輪2の間の堀切です。
底は平たく堀底道になっていました。
ここを経由して主郭に入りました。

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曲輪2の内部です。

かまどの跡や柱穴が見つかっています。

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曲輪2に登る階段の跡です。
数段のみ見つかりました。

曲輪2は独立した曲輪で、どの曲輪とも連絡していません。
堀底道を来た敵兵を主郭と曲輪2から挟み撃ちする構造で、優れた縄張りです。
でも曲輪2は逃げ場がなく、攻められたら全滅するしかありません。
いわば決死隊の曲輪です。

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下からみた曲輪2です。
切岸の高さがわかります。

見学者もこの梯子を上り下りします。
見学も大変です。

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曲輪2の南の堀切です。
幅広い堀切です。
底は箱堀でした。

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遺物です。

天目茶碗、すり鉢、大甕、土師器、古銭、砥石、火縄銃の弾、貝殻が見つかっています。
貝殻はハマグリやサザエなどで伊坂城の人が何を食べていたのかがわかり興味深いです。

伊坂城の歴史は永禄11年に織田信長に攻められて落城したとされていますが、発掘調査の結果、16世紀後半にも城があった可能性がわかりました。
櫓門の存在や縄張りから、小牧長久手合戦時に使用された可能性もあると思います。

今更工事の計画を変更することは不可能でしょうが、事前にもうすこし何とかできなかったのかと残念に思います。

伊坂城跡の発掘調査現地説明会 [発掘調査現説]

三重県四日市市伊坂町の伊坂城の発掘調査現地説明会に行って来ました。

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下から見た伊坂城です。
戦国時代の山城でとても規模が大きいです。
今回新名神高速道路の工事で、城跡の半分が道路にかかるので発掘されました。

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主郭です。

多くの建物が見つかっています。

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建物の跡です。

掘立柱建物でした。
最大のものは6間×4間の大きさです。

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井戸跡です。

水はありませんでした。


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主郭の櫓門跡です。

今回の発掘調査の最大の目玉です。

板石が6つ規則正しく並んでいます。
石の大きさは約80センチで、最大は93センチです。
礎石の大きさや並びから櫓門だったと想定されています。

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説明会のときの櫓門の絵です。
二階建てで、上の櫓は廊下の様に左右の3.5メートルの高さの土塁を行き来できるようになっていました。
門は上で最大9メートル、高さは6メートルに復元できます。

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説明会の資料にあった櫓門です。
千曲市の荒砥城のイメージです。

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礎石のアップです。
よく見ると3つの大きな礎石の隣に小さい礎石が2つあります。
これは土塁は斜めになっているので垂直の柱の間の隙間ができます。
その隙間を埋めるために柱と土塁の間を板で塞ぐのですが、その板の礎石と思われます。
このような細かいところまでわかるところはすごいです。

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主郭からは門の扉と柱をつなぐ金具も出土しています。
左の楔形の金具です。

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門跡を別アングルで

丸石が多くあり、石が通路に敷き詰められていたようです。

(続く)



各地で発掘調査現地説明会が開催 [発掘調査現説]

今週末には各地でお城の発掘調査現地説明会があります。

どのゲンセツもほぼ毎年恒例の年中行事となりつつあります。

うーん、行きたいのばかりで迷います。

阿津賀志山防塁跡、和歌山城、井川城、徳丹城は毎年のようにあります。
水口岡山城ではすごい発見があったようです。


2014年11月15日(土)
阿津賀志山防塁跡
13:30~
場所 福島県伊達郡国見町大字大森字東国見地区内
問合せ
国見町教育委員会
℡024-585-2676


2014年11月15日(土)
水口岡山城跡
13:30~ 
場 所:滋賀県甲賀市水口町水口
問合せ:甲賀市歴史文化財課
℡0478-86-8026


2014年11月15日(土)
亀居城関連遺跡
13:30~ 
場 所:広島県大竹市小方
問合せ:広島県教育事業団
℡082-295-5751


2014年11月15日(土)
和歌山城二の丸跡
13:30~ 
場 所:和歌山県和歌山市一番丁
問合せ:和歌山市和歌山城整備企画課
℡073-435-1044


2014年11月15日(土)
井川城跡
10:30 ~ 13:30~
場所 松本市井川町1丁目
問合せ
松本市教育委員会
℡0263-85-7064


2014年11月15日(土)
徳丹城跡
13:30~
場所 岩手県紫波郡矢巾町西徳田第6地割 
問合せ
矢巾町教育委員会
℡019-611-2860


2014年11月15日(土)
山形城跡
10:30 ~ 
場所 山形県山形市霞城町
問合せ
山形市教育委員会
℡023-641-1212



岡崎城菅生曲輪発掘調査現地説明会 [発掘調査現説]

岡崎城菅生曲輪の発掘調査現地説明会です。

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説明です。

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東曲輪の切り通しからみた東櫓です。

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岡崎城の絵図に見る発掘箇所です。
東櫓の下の枡形門です。

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門跡付近です。
礎石が見つかっています。

菅生曲輪の整備を行い、枡形門の復元を計画しています。

しかし、雨のため説明会は中止。
資料配布のみでした。
担当者のかたはいたので、お話を聞くことは出来ました。

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東櫓の下を調査。
青いビニールシートは現場です。

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雨の現場です。
テントは資料配布のブースです。


本証寺の発掘調査 [発掘調査現説]

本証寺の発掘調査現地説明会がありました。

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本証寺は愛知県安城市にある浄土真宗のお寺です。
三河一向一揆のときには一揆の拠点となりました。
お城のような堀と石垣、櫓をもつ寺院で城郭伽藍として有名です。

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発掘されたのは外堀です。
幅3メートル、深さ2メートルでした。

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断面図です。
薬研堀でした。

堀の中から16世紀の内耳鍋が見つかり、戦国期の遺構であることが確認されました。

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発掘調査の位置図です。

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丁度角の部分が調査区です。
今回の調査でほぼ外堀の位置が確認できました。

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現在も残る外堀の一部です。
こちらは水堀でした。

本証寺は国指定史跡を目指しています。
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