戦国の軍隊 [お城の本]
『戦国の軍隊』
著書の西股総生氏は、中世城郭研究会などで活躍されている方で、立場的には縄張り研究者ですが、考古学出身です。
帯には「侍は正社員、足軽は非正規雇用者」などと目を引くようなキャッチコピーが書かれています。
内容はかなり刺激的です。
兵農分離は無かった
足軽は傭兵だった
足軽大将は傭兵隊長だった
戦国大名は農繁期に戦争をやらなかったのはウソだった
足軽、雑兵とはなにか
鉄砲が急速に普及した意外な理由は
いろいろと新しい視点を与えてくれた本でした。
いきなり南雲忠一中将の真珠湾攻撃の反転と長尾景虎(上杉謙信)の小田原攻めを比較するなどビックリさせられます。
西俣氏は戦いには古今東西を通じて普遍性があるとして、戦国時代の戦いと第二次世界大戦やヨーロッパの中世の戦いとしばしば比較します。
確かにある程度の普遍性はあるでしょうが、中世の戦いの論理と近代戦争を同一に比較することは少し無理があるように感じました。
西股氏の専門は城郭研究ですが、意外と城の話題は少ないです。
『戦国の軍隊』
西股総生著
発行 学研
1,400円
著書の西股総生氏は、中世城郭研究会などで活躍されている方で、立場的には縄張り研究者ですが、考古学出身です。
帯には「侍は正社員、足軽は非正規雇用者」などと目を引くようなキャッチコピーが書かれています。
内容はかなり刺激的です。
兵農分離は無かった
足軽は傭兵だった
足軽大将は傭兵隊長だった
戦国大名は農繁期に戦争をやらなかったのはウソだった
足軽、雑兵とはなにか
鉄砲が急速に普及した意外な理由は
いろいろと新しい視点を与えてくれた本でした。
いきなり南雲忠一中将の真珠湾攻撃の反転と長尾景虎(上杉謙信)の小田原攻めを比較するなどビックリさせられます。
西俣氏は戦いには古今東西を通じて普遍性があるとして、戦国時代の戦いと第二次世界大戦やヨーロッパの中世の戦いとしばしば比較します。
確かにある程度の普遍性はあるでしょうが、中世の戦いの論理と近代戦争を同一に比較することは少し無理があるように感じました。
西股氏の専門は城郭研究ですが、意外と城の話題は少ないです。
『戦国の軍隊』
西股総生著
発行 学研
1,400円
『現存12天守閣』山下景子著 [お城の本]
最近幻冬舎新書から発行された山下景子著『現存12天守閣』です。
新書でもお城の本が出るとはお城ブームを感じさせます。
そういえば、少し前もソフトバンク新書から『天守を巡れば歴史が見える』(外川淳著)というマニアックな本が出されました。
新書でも数多くお城本が出されていますね。
現存12天守とは
弘前城
松江城
丸岡城
宇和島城
犬山城
松山城
丸亀城
備中松山城
彦根城
姫路城
松本城
高知城
です。
現存天守のため、名古屋城、熊本城、大坂城などの有名な城は入っていません。
彦根城の天守です。
内容的には、12の現存天守を廻る紀行風に書かれています。
天守についての詳しい解説はありませんが、いろいろなエピソードを取り入れています。
あとがきによると著書の山下さんは以前交際していた彼氏と小谷城(滋賀県)にデートに行ったことがきっかけで、城好きになったそうです。
デートで彼女を小谷城に連れて行くという彼も中々のツワモノですが、それ以来天守閣のある城ではなくて、中世の山城が好きになったという山下さんも「歴女」ならぬ「城女」ですね。
新書でもお城の本が出るとはお城ブームを感じさせます。
そういえば、少し前もソフトバンク新書から『天守を巡れば歴史が見える』(外川淳著)というマニアックな本が出されました。
新書でも数多くお城本が出されていますね。
現存12天守とは
弘前城
松江城
丸岡城
宇和島城
犬山城
松山城
丸亀城
備中松山城
彦根城
姫路城
松本城
高知城
です。
現存天守のため、名古屋城、熊本城、大坂城などの有名な城は入っていません。
彦根城の天守です。
内容的には、12の現存天守を廻る紀行風に書かれています。
天守についての詳しい解説はありませんが、いろいろなエピソードを取り入れています。
あとがきによると著書の山下さんは以前交際していた彼氏と小谷城(滋賀県)にデートに行ったことがきっかけで、城好きになったそうです。
デートで彼女を小谷城に連れて行くという彼も中々のツワモノですが、それ以来天守閣のある城ではなくて、中世の山城が好きになったという山下さんも「歴女」ならぬ「城女」ですね。
『信長革命』藤田達生著 [お城の本]
最近発行された藤田達生氏著『信長革命-安土幕府の衝撃』はかなり衝撃的な内容です。
藤田氏は三重大学の教授で、織豊期の論考をたくさん書かれています。
最近では、本能寺の変の黒幕に関する本が刺激的でした。
中でも注目すべきは安土城の解釈です。
織田信長は安土に幕府を開くことを目的としていたとして安土城の縄張りを読んでいます。
最近の発掘調査により、安土城の姿は随分と分かってきました。
中でも大手口の門が3つ(4つという説もある)並んでいたこと。
大手道が直線状に伸びて、その周囲に屋敷地があったこと。
本丸御殿が御所の清涼殿と同じ構造だったこと(異説もあります)。
それを表したのが下の図ですが、見難いかもしれません。
本丸御殿が清涼殿とおなじプランというのは、以前から指摘されていました。
これは天皇を安土城に招く「行幸」のため、本丸に清涼殿を作ったと解釈されていました。
藤田氏をこれを更に進めて、「行幸」ではなくて、本丸に朝廷を移すという計画だったという大胆な説を出しています。
確かに非常に魅力的な説ですが、あの狭い本丸内に御所を移すというのはどう考えても無理があるように思えます。
また、大手道の両側の屋敷は公家の屋敷といいますが、発掘調査の成果によると屋敷の構造は武家屋敷のそれをあらわしていました。
安土城の天守閣についても、従来の復元とは全く別のプランを提示します。
従来の復元は下の写真のようなものです。
これは佐藤大規氏の復元です。
藤田氏は、1階から3階までの障壁画が多く書かれた部屋から、3階までを書院造りのオープンな建物を三層にしてその上に望楼を載せた形とします。
いわゆる金閣寺の形です。
そういえば、映画「火天の城」の中でも、京都の大工池上氏は三層の楼閣の上に金閣寺を載せていたブランが出ていました。あれの逆バージョンですね。
確かに金閣を真似したという指摘は一理あります。
しかし、岐阜城から安土城、大坂城への城の系譜がつながりません。
また、安土城は政庁や宮殿であるという指摘は一理ありますが、そもそもお城が防御施設であるという視点が弱いのではないかとも感じました。
最近、盛んな安土城の復元プランに一石を投じる書には違いないでしょう。
縄張り研究からは出にくい発想ではないでしょうか。
藤田氏は三重大学の教授で、織豊期の論考をたくさん書かれています。
最近では、本能寺の変の黒幕に関する本が刺激的でした。
中でも注目すべきは安土城の解釈です。
織田信長は安土に幕府を開くことを目的としていたとして安土城の縄張りを読んでいます。
最近の発掘調査により、安土城の姿は随分と分かってきました。
中でも大手口の門が3つ(4つという説もある)並んでいたこと。
大手道が直線状に伸びて、その周囲に屋敷地があったこと。
本丸御殿が御所の清涼殿と同じ構造だったこと(異説もあります)。
それを表したのが下の図ですが、見難いかもしれません。
本丸御殿が清涼殿とおなじプランというのは、以前から指摘されていました。
これは天皇を安土城に招く「行幸」のため、本丸に清涼殿を作ったと解釈されていました。
藤田氏をこれを更に進めて、「行幸」ではなくて、本丸に朝廷を移すという計画だったという大胆な説を出しています。
確かに非常に魅力的な説ですが、あの狭い本丸内に御所を移すというのはどう考えても無理があるように思えます。
また、大手道の両側の屋敷は公家の屋敷といいますが、発掘調査の成果によると屋敷の構造は武家屋敷のそれをあらわしていました。
安土城の天守閣についても、従来の復元とは全く別のプランを提示します。
従来の復元は下の写真のようなものです。
これは佐藤大規氏の復元です。
藤田氏は、1階から3階までの障壁画が多く書かれた部屋から、3階までを書院造りのオープンな建物を三層にしてその上に望楼を載せた形とします。
いわゆる金閣寺の形です。
そういえば、映画「火天の城」の中でも、京都の大工池上氏は三層の楼閣の上に金閣寺を載せていたブランが出ていました。あれの逆バージョンですね。
確かに金閣を真似したという指摘は一理あります。
しかし、岐阜城から安土城、大坂城への城の系譜がつながりません。
また、安土城は政庁や宮殿であるという指摘は一理ありますが、そもそもお城が防御施設であるという視点が弱いのではないかとも感じました。
最近、盛んな安土城の復元プランに一石を投じる書には違いないでしょう。
縄張り研究からは出にくい発想ではないでしょうか。
歴史人 [お城の本]
最近は本当に歴史ブームで、歴史関係の雑誌が次々と創刊されています。
「歴史人」もそのうちのひとつ。
今回は特集が「戦国武将の城」です。
お城フリークとしては買うしかありません。
最近、本当にこの手の本が多くて買うのも大変です。
内容もCGによる江戸城や安土城天守の復元や国宝4城(姫路城・松本城・彦根城・犬山城)の完全解剖などもりだくさんです。
執筆者も今やお城の本には欠かせない、中井均氏、加藤理文氏、西ケ谷恭弘氏、三浦正幸氏、小和田哲男氏らのそうそうたるメンバーです。
でも流石にこれだけ頻繁に出て、しかも執筆者も同じだと内容的にも似たものになってしまいますね。ところどころは違った視点も入れているけど・・。
KKベストセラーから
定価680円です。
※別にKKベストセラーも回し者ではありません(^_^;)
本の宣伝をしているわけではありません。
「歴史人」もそのうちのひとつ。
今回は特集が「戦国武将の城」です。
お城フリークとしては買うしかありません。
最近、本当にこの手の本が多くて買うのも大変です。
内容もCGによる江戸城や安土城天守の復元や国宝4城(姫路城・松本城・彦根城・犬山城)の完全解剖などもりだくさんです。
執筆者も今やお城の本には欠かせない、中井均氏、加藤理文氏、西ケ谷恭弘氏、三浦正幸氏、小和田哲男氏らのそうそうたるメンバーです。
でも流石にこれだけ頻繁に出て、しかも執筆者も同じだと内容的にも似たものになってしまいますね。ところどころは違った視点も入れているけど・・。
KKベストセラーから
定価680円です。
※別にKKベストセラーも回し者ではありません(^_^;)
本の宣伝をしているわけではありません。